今の私は、ただ

彼にもう一度逢いたくて

この道を、全速疾走で駆ける。

「私も何年か前に、彼から
 イオリ先輩が甥だって聞いて
 驚いたの
 
 何でも、彼、イオリさんは
 ずっと極道になることを
 拒んでいたらしく
 やっと了承してくれたって
 当事の彼は、とても喜んで
 いたわ

 自分には子供がいないから
 翌々は彼を後継者に
 考えているとも話してた」

更紗が、思い出したように言う

「あの話、本当だったんだぁ
 別れた彼から、スミレが
 先輩に告白して振られた
 あのカラオケの帰り道で
 私、聞いたの・・・・・・

 アイツったら、スミレが
 振られて良かったなんて
 言うもんだから、私
 顔を引っ叩いて怒ったの

 そしたら彼、私に
『アイツは、いつか極道に
 なるかもしれない』
 
 そう、言ったの
 まさか冗談だとばかり
 思ってた・・・」