庵の傍に近寄り、耳元で
朱莉は囁く。

「いらっしゃい、イオリ
 ショウさんが上機嫌で
 待ってるわよ
 あの綺麗な女性は誰なの?」

「会澤組組長の娘」

「あいざわ組って、あの会澤組
 敵対する組のお嬢さんが
 どうして・・・」

朱莉の肩に手をのせて二度軽く
叩いた後、庵はその席へ
近づいて行く。

・・・・・・

二人は、ひとつになれたけど

彼の言葉が私に重く圧し掛かる

「遅いぞイオリ、トモエさんが
 お待ちかねだぞ」

「先代、今日は・・・
 幹部は、どこに」

「皆、帰らせた
 トモエさん、イオリに
 会うのは、これで・・・」

「二度目です」

「さあ、イオリ、座りなさい」
 
半分、怒った表情の庵は
しかたなく、巴の隣に座る。

「大事な話って、コレがですか
 先代、今がどういう状況か
 ・・・」