幸姫は木格子から手を離して後退った。
…今、信長っつったよね…?
信長の鋭い眼光から目が離せない。
信長って、あの、信長、よね?
自分の知っている、授業で習った信長の姿はどこにもない。
いるのは、健康的に焼けた、髭がとてもよく似合うダンディーなおじ様だけ。
「魔王…?」
教科書の肖像画からはむすびつかなかったが、今目の前にいる人物ならば、その表現はしっくりとくる。
信長と呼ばれた男は、小さく笑った。
「名は幸姫、だったか?」
言われて体が硬直する。
な…なんで知ってんのさ!?
嫌な汗が一気に背中に吹き出した。
ごくりと唾を飲み込む。
その様子を見て、信長はまた、小さく笑った。
「家康、この娘を連れてこい」
「はっ」
そういうと、信長は踵を返してすたすたといなくなった。
そして。
「出ろ」
家康は牢の南京錠をはずすと、幸姫にむかって、短く命令した。
…今、信長っつったよね…?
信長の鋭い眼光から目が離せない。
信長って、あの、信長、よね?
自分の知っている、授業で習った信長の姿はどこにもない。
いるのは、健康的に焼けた、髭がとてもよく似合うダンディーなおじ様だけ。
「魔王…?」
教科書の肖像画からはむすびつかなかったが、今目の前にいる人物ならば、その表現はしっくりとくる。
信長と呼ばれた男は、小さく笑った。
「名は幸姫、だったか?」
言われて体が硬直する。
な…なんで知ってんのさ!?
嫌な汗が一気に背中に吹き出した。
ごくりと唾を飲み込む。
その様子を見て、信長はまた、小さく笑った。
「家康、この娘を連れてこい」
「はっ」
そういうと、信長は踵を返してすたすたといなくなった。
そして。
「出ろ」
家康は牢の南京錠をはずすと、幸姫にむかって、短く命令した。


