落ち着かなくて、教室をウロウロしていたら


「あれ?まだいたの?」


テニスのユニフォーム姿の永井くんが、汗を首にかけたスポーツタオルで拭きながら教室に入ってきた。


「うん。先輩待ってるんだ」


「そっかぁ。相変わらず仲いいんだな。きょうは教室まで会いに来てたし」

見てたんだぁ…なんか恥ずかしいな…。

「そ、それはぁ…ただ、帰り遅くなるの伝えに来てくれただけだよ…」

それに、仲いいって言われたら、また先輩のキス思い出して顔が赤くなるよ。

「永井くんは、彼女とかいないの?」

照れ隠しのつもりでとっさに口から出た言葉。


永井くんみたいな優しくてカッコいい男の子なら彼女がいるはずだよね。


だけど、永井くんは「いないよ。彼女」そう一言いうと、黙ってしまった。