「茜〜まだぁ?」



先輩と話し込んでいたら、甘ったるい声を出した天音がやってきた。




「悪い。話し込んじった。先輩、エスプレッソとカフェラテお願いします」


「はいよ」




先輩は少し緊張気味にカフェを作りはじめる。



う〜…キモい。




「この人、茜の先輩なの?」

「バイト先のな」


「ふーん。カッコイイね」



天音の言葉に動揺した先輩は、壮大にマグカップを落とした。




「中野天音です。茜がいつもお世話になってます」


「いえ、俺は柏木に何も…」



おーおー、照れちゃって。



ベースが恋人だとか吐かしてるから、天音相手に照れんだよ。


本当バカだな。





「これ、サービス」




太っ腹な先輩は

スフレを奢ってくれた。




「じゃあ茜、私先に行ってるね」



天音はカップの乗ったトレーを持って、席に戻って行った。





「先輩、約束っスからね」

「わーてるよ。俺は一度した約束は破らねぇ」




それでこそ

男くさい男、吉澤先輩だ!