「茜くん、お兄ちゃんが失礼なこと言ったみたいで申し訳ないです」



胡桃ちゃんは本当に申し訳ないといった表情をする。




「俺は何も気にしてませんよ。お兄様は胡桃ちゃんの事を大切に想ってらっしゃる素敵な人です」



…なんて

これっぽっちも思っちゃいねぇけど。




「お兄ちゃんは昔からあぁで…」



所詮、兄貴は兄貴。


妹と恋人になれやしねぇんだからあんな奴、屁でもねぇ。




だから気にしなくていいんだよ。




「お前もハイハイ棗の言う事を聞くからいけねぇんだぞ。たまには反抗しろ」


「してますよ!でも聞く耳を持ってもらえなくて…」



キモロン毛、テメェ…


胡桃ちゃんに説教すんなよ!



何か萎えるだろ。




「じゃあ、これやるよ」



吉澤先輩はエプロンのポケットから何かのチケットを2枚取り出した。