純愛ワルツ

誕生日にリビングには上がらせてもらえたけど

なっちゃんの監視下にあったせいで、部屋には入れなかったんだよな。




タンタンと階段を上り、家中に漂う花の香りを嗅ぎながら


KURUMIとプレートが掛けられたドアを見つけた。




う…


あんな事があった手前、気まずい。



でも、ここで引き下がったら男が廃る!




それに…


同じ事の繰り返しになったとしても、こんなところで胡桃を手放すなんて嫌だ。



こうやって喧嘩をしながら

お互いを知っていけばいいんだから…。




うん。

だから謝るんだ。





「…胡桃、茜だけど…入っていいか?」




ノックをしてから声を掛けるが

何も返事が返って来ない。




…寝てるのかな?





「入るぞ〜…」




ゆっくりドアを開けて中の様子を伺うと


ピンクを主体とした女の子らしい部屋の片隅にあるベッドに

胡桃が眠っていた。





「…胡桃」




ソッと額に手をあてると、特に熱くはなかった。



熱で寝込んでるワケじゃないんだな。

ちょっとホッとしたよ。