純愛ワルツ

「こちらこそだよ、胡桃ちゃん。アナタの大切なお兄ちゃんを私も大切にするわ」



くらちゃんさんと一緒に

お兄ちゃんも微笑んだ。





「妹さんの事は僕に任せて下さい、なっちゃん」


「お前にはやらん」



「…クスッ」




まるで結婚のお願いに来た彼氏と

それを反対する父親のような2人のやり取りがおかしくて


ついつい声が漏れちゃった。




「ほら、胡桃に笑われてますよ。なっちゃん」


「貴様が嘲笑われているんだ」



茜くんとお兄ちゃんが言い合っていると、ウエイトレスさんがケーキや紅茶を運んできた。




「こんなに綺麗なケーキ、食べちゃうの勿体ないですね」


「だな。…じゃあ俺はケーキじゃないWalnut Mineを食べようかな」


「え?」




そう言ってペロッと私の頬を舐めた茜くん。




「あ…わわわわわっ」


「うん、甘い」




ボンッと頭から湯気でも出るんじゃないかってくらい


顔が熱を帯びる。





「そこの雑魚は公衆の面前で、しかも俺の目の前で何をしている」


「なっちゃんもくらちゃんとすればいいじゃないですか」



グッと言葉を詰まらせるお兄ちゃん。





「ふーん、出来ないんだ。なっちゃんの意気地無し〜」


「俺は人前でキスなどはしない主義なんだ」


「ムッツリだから?」




今日で何度目か

ギャーギャーと言い合う2人。





こうしてみんなでデートするのって、こんなに楽しかったんだ。


これからもこんな風に楽しかったらいいな。




そんな事を思ってケーキを一口食べた瞬間―…




「…最低!!」



パンっと何かを叩く音が響いた。