「ええ、と、
 何で飾られてるのかは知らないが、
 言い伝えは知ってる。」

コホンと、咳払いしてから
テラスが話し出した。

「言い伝え?」

「そう、あの死体に関する言い伝え。」

「どんなの?」

「長いぞ?」

「いいよ。お話大好き。
 でも、先に座らない?」

近くの椅子を指さして促す。
テラスは頷くと、
目の前にあった2つの椅子に
私たちは並んで腰かけた。

「今から約3000年も昔のこと、
 あるところに、美しい女が住んでいた。」

腰かけて数秒してから、
テラスは話し始めた。

小さい頃、寝る前に、
お母さんがお伽話を聞かせてくれたように、
小さな、落ち着く声で。