騎士はキミに恋をする


トラックが目の前に迫る。

軋みを上げるタイヤが
自分を轢こうと近づいてくる。

そして。

だんっっっ!!!

鈍い音を立てて、宙を飛ぶ。

痛みは無い。
意識はまだはっきりとしていた。

仰向けに宙を飛んでいる玖澪羽の視線は、
空にあった。

そして、

「死ぬのが、

 今になって、

 怖くなってきた。」

涙をためた瞳で空を仰いだ。

「誰か、」

その瞳は、

  一筋の涙を流しながら、

 死という恐怖に打ちひしがれながら、

     ゆっくりと、