「…ねえ、気づいてる?
 お姫様はもう、
 あたしの魔法にかかってることに。」

不機嫌そうな顔のまま
少女は私にそう聞いていた。

まさか、と思い、
身体を動かそうと身をよじる。

だが、身体は首から下は
ちっとも動こうとしなかった。

どれだけ動こうとしても、
ぎし、ぎし、と微かな音が
体が動くのを阻むようになるだけだった。

「あはははっ、お姫様
 錯覚だと思っていたの?」

今度はまた満面の笑顔になって
私に話しかけていた。

「鈍感にもほどがあるよ?」

そういうと、
少女は人差し指でとんっ、と
私の額を押した。

途端、強烈な眠気が襲ってきて、
私はそれに逆らえずに眠りに落ちた。