「ねえ、苦しくない?」

「寂しくない?」

「この負の感情から解き放たれたくない?」

弾けるような笑顔で
少女は私に手を差し出した。

「あたしと一緒に来たら、
 この悲しみから解放されるよ?」

「あたしとおいで。」

そんな甘い少女の誘い。

でも、私は首を振った。

「ごめんね、
 確かにこの悲しみから
 解放はされたいけど、
 私、それでもこの人が好きなの。」

そう言った私に対して
少女は今まで笑顔だったその表情から
笑顔を全部消した。

変わりに面倒くさそうな表情になって
ぴょん、とベッドに乗り、
少しかがんで私を見た。

「お姫様めんどくさーい。
 あたしめんどくさい人嫌ーい。」

発せられた言葉は
さっきとは打って変わって低い声だった。