騎士はキミに恋をする


『殺せ。』

満足した、苛立った声が
私の背中を蹴飛ばすように押した。



両の手に力を込めて、
貴女の胸の中心に突き刺した。





悲鳴の代わりに血を吐きだしながら、
貴女は最後に笑った。

それが嘲笑っただけなのか、
いつものあの優しい笑顔だったのかは、

今はもう思い出せない。

後に残ったのは、
無表情に目を開いたまま
息絶えた貴女だけ。

ほんの一瞬だけ、
意識が正常に戻って、

貴女が誰だか思い出す。