騎士はキミに恋をする


『我、汝の心に住まう者』

私の耳元でそれは無声音に近い、
耳障りな低い声を発した。

視界は霞んだまま。
だけど、それが嗤うのが何故かわかった。

『汝、復讐を果たしたいか?』

それは私に語りかける。

…私?

動かない思考を
必死に動かしながら私は思った。

『汝を裏切ったものは誰だ?』

…フィオナ。

答えはすんなり出た。
たった今まで、
歪んだその顔で
私を見ていた最愛の友人 だった人。

『汝はまだ我が死なせない。』

呪いの言霊にも近いその言葉は、
私をすっぽりと包んだ。

私はちっとも抗おうともせずに
ただただ受け入れた。



紅いものが私を支配する。