豪雨が降っていた。
戦況は最悪だった。
こちら側はもう敗北寸前の状態だった。
撤退の命令が出たのは、
私とフィオナが
敵陣の真っただ中で背中合わせになり、
無数の敵と切り結んでいた最中だった。
豪雨が織りなす雑音を斬り裂いて
撤退命令の笛の音が鳴り響くのを
私とフィオナは聴いていた。
「撤退ー!!」
誰かがそう叫ぶその前に
私はフィオナの手を掴んで
逃げようとした。
でも、
次の瞬間、
私の手の中にあったはずの
フィオナの掌の感触が消え失せた。
反射的に後ろ振り向く。
肩に激痛が走り、
その時来ていた群青の鎧に
剣が突き刺さった。
「…え?」
剣を突き刺したのは、
歪んだ顔をしたフィオナだった。


