騎士はキミに恋をする


その頃、アンジェリーナは
城の隅のほうにある自室で
クローゼットに頭を突っ込み、
あるものを探していた。

クローゼットの中身が
外に出てしまうのも躊躇せずに
黙々と探していた。

そして、アンジェリーナの手が
クローゼットの最奥に到達する頃
人差し指と中指の爪が
カツン、と堅いものに触れた。

アンジェリーナはそれを取り出し、
表面についていた埃や汚れを手で払った。

アンジェリーナが取り出したものは
血のように真っ赤な兜だった。

兜の側面には
身体が獅子、顔が人間の怪物、
『マンティコア』が描かれていた。

兜に描かれたマンティコアが
まるで嗤うように不気味に光る。

アンジェリーナは、
マンティコアの体に指先で触れながら、
自分に今の戦場での通り名が付いた
あの忌々しい日を思い出していた。