温かくなることのないテラスの手を
必死に両手で温めながら、
私は知らぬうちに涙を流していた。
生温い涙を腕で拭いながら、
私は必死にそれを止めようとした。
涙を流すということは、
テラスが死ぬということを認めて、
受け入れてしまうように思えたからだ。
テラスの死を受け入れたくなかった。
だから、玖零羽は、
目元が布のズレなどで
うっすら赤く腫れてしまうほどに
必死に、強く涙を拭いた。
ヒリヒリと、
目元が赤みを増して痛み出した頃に
やっと涙が引いた。
だが、その頃には
今度は目元の痛みのせいで
眼に涙が滲んでいた。
でも、心の傷によって泣くよりは
物理的な痛みのせいで泣いたほうが
何倍も何十倍もよかった。
だから、小さく微笑んでから、
冷たい掌に自分の顔をそっと乗せて、
ゆっくりと、確実に、
そして気付かれないくらいに
静かに迫ってきた眠気に
身を任せて、すっ、と目蓋を閉じた。


