騎士はキミに恋をする


「嘘でしょ?」

心が、脳が、体が
否定したがっている。

「死んだりなんて、しないでしょ?」

さっきと同様に震える声で、
私はアンジェリーナに答えを求めた。

「出血量が多すぎます。
 そして、ストックが足りなさすぎます。
 このままだと、テラス様は、」

そこまで言って、
アンジェリーナの
両の瞳に溜まっていた涙が
堰を切ったように
大粒の涙となって溢れ出た。

まるでダムが大量の水を溜めきれずに
派手に崩壊していくようだった。

「死んでしまいます。」

涙が溢れ始めたころに
小さく言ったその言葉を
私の耳が聞き逃すことはなかった。

「……ぇ?」

涙は出なかった。

さっきと同じように
心、脳、体が無意味に否定していた。

何もかもがその言葉を
受け容れたがらなかった。

受け入れようとしなかった。