騎士はキミに恋をする


「ユートピア?」

再度名前を呼んだ私を
ユートピアは睨みつけた。

鋭い瞳が私だけをとらえ、
問いただすようにまた低く唸った。

その瞬間、
私は弾かれるようにユートピアから離れ、
城の中へと走り出した。

私の走っていく方向に、
転々と血が模様を作っていた。

これは自分についた血でも、
ユートピアの物でもないと
分かりきっていた。

ユートピアのあの状態を
目の当たりにしてしまう前に、

私の視界の隅に
この血の跡が見えていたにも関わらず、

私は知らず知らずのうちに、
そのことを勝手に忘れていた。

否、脳が、心が、
この血の主の存在のことを
少しでも考えたくなかった。

遠ざけていたかった。

だから、私はユートピアに
縋りついていたのだろうか?

この血の主の代わりにでもするように、