「彼女はある日、
黒魔術の集団に捕まって、
生贄にされてしまったんだ。
王子さまは悲しんで、己を呪った。」
「…。」
「それから、
3年がたった頃、君が現れた。
性格や顔は違かったかもしれないけれど、
それでも、面影を重ねずにはいられない。」
伯爵は、喉の渇きを潤すように、
紅茶を口に含んだ。
「もし、王子様が君を好きだったとしても、
本当に君のことが好きなのかな?
ねえ、どう思う?」
「わ、私は…。」
震える声で紡ごうとした言葉は、
伯爵の次の言葉で遮られた。
「ねえ、楽になりたくないかい?」
下げていた顔を上げると、
伯爵がいたわるように笑っていた。
「鎖から、解き放たれなくないかい?」
手を私に差し出す伯爵。
「僕ならできる。
君を幸せに。
君だけを愛せる。
永遠に。」
私の右手がピクリと動いて、
伯爵の差し出した手に
私の右手を乗せようと手を伸ばした。


