「ねぇ、王子さまは
本当に君のことが好きなのかな?」
伯爵は首をかしげる。
「君は王子さまのことが好きなの?」
私は紅茶を飲まずに
ティーカップをテーブルに置く。
「王子さまは、
前の好きな人の面影を
君に重ねているのかもしれないのに?」
「え? 好きな、人?」
意識もせずに自然に口から言葉が漏れた。
「そう、好きな人。
丁度、君と同じような容姿だったんだ。
女神さまと同じのね。」
「…。」
「2人は、愛し合っていた。
周囲が羨むほどに。
お互いに必要としていた。」
伯爵は、目の前に置かれた、
緑と茶色のケーキをフォークで
つつきながら言う。
「でも、王子さまの好きな人は
いなくなってしまったんだ。
どうしてだと思う?」
「…いえ、」
伯爵は一層笑みを深めた。
「彼女は死んでしまったんだ。」


