空いている左側の椅子に座り、
目の前にある、
赤茶色のお茶が入ったティーカップを
手に取った。
「このお茶、美味しいよね。」
伯爵が笑う。
「ええ、とても。」
私も習って笑う。
「ねえ、君の王子さまは
どうしていないの?」
「え…?」
予想していなかった質問に私は驚いた。
「酷くない?
こんなに綺麗なお姫様を
1人残していなくなってしまうなんて。」
「テラスは、任務でいないだけです。」
ティーカップを両手で持ったまま、
私は言った。
「そうなの?
それにしては遅くない?
想像だけど、好きな人がいて、
その人に会うための口実かもしれないよ?」
伯爵の言葉が深く胸に刺さる。


