騎士はキミに恋をする


その時、

ひゅん、

という小さく空気を切る音が
その場にこだまする。

玖零羽がきつく瞑っていた目を
開けると、
そこにはテラスが使っていた、
両剣の剣と同じ剣が
中年貴族と玖零羽の間を貫いて、
テーブルに突き刺さっていた。

中年貴族が驚いたように目を見開き、
上を向いて剣の持ち主を睨んだ。

剣の持ち主は、
純色の、綺麗な黄色の髪を持つ、
20代ぐらいの女性だった。

肩で切り揃えられた髪と
同じ色をした鎧が、
とても似合っていた。

橙色の瞳が、射抜くように
中年貴族を睨みつける。

その瞳は、例えるならば、
真夏の焼けつくような太陽の様だった。

「無礼者。」

吐き捨てるように、
冷たく女性が言う。

中年貴族は負けじと言い返す。

「ぶ、無礼者は君じゃないか!」

玖零羽の手から片手が離れ、
その片手で女性をビッ、と指さす。

幼稚園児か。こいつは。

玖零羽はどん引きした。