『お疲れ様でした。』



Barでのバイトを終え、帰宅する途中、水月は決まって缶コーヒーを握りしめ、井の頭公園に立ち寄る。



0時を過ぎているのもあって、暗闇に包まれている公園には、人影もほとんどない。



水月は、そんな夜の公園が好きだった。



暗闇は、表も裏も包み隠し、水月の心を落ち着かせてくれる。



太陽と月が相容れないのと同様に水月は、太陽を避けていた。



もう数年…太陽は見ていない。



家に着いても、電気は付けずにテレビの僅かな明かりだけで過ごす事がほとんどだ。



今日も、まるでドラキュラのように太陽が昇る前に眠りに就く。