狼執事とお嬢様♡~ある日の狼~



清楚で純情で綺麗で優しくて…



そんな大人しげな母は精神的にボロボロだった。

だから、代わりを見つけては、体を満たそうとした。



一時の満足感に母はやめられなくなったんだ。




母は自分のしていることに心を痛めた。


そして、俺が高学年になる頃、男遊びをやめたんだ。


親父は相変わらずなままで…




それから母は親父の自慢話を毎日のようにした。


本当は良い人なんだと、俺に伝えたかったのだろう。




それでも俺は好きにはなれなかった。


許せなかった。




母は、俺にとって誇りだ。



男は父親の背中を見て育つとか、どーでもいい。
ありえないことだと俺は思っているから。




あいつの背中にはいつも、知らない女の手が巻きついてる。


ナイフで切り裂きたくなるような、白い女の手。

その白をその女の赤で。
女も親父も染めてやりたかった。




それでも行動しなかったのは母がいたから。



俺を最優先してくれる母が傷つくことだけは、したくない。

何よりも母が大事だった。



帰れば、母がいつものように迎えてくれる。

そんな温かな幸せを、失いたくなかった。