狼執事とお嬢様♡~ある日の狼~

【俊】


小学校を、卒業する前まで…

俺は自分が大嫌いで。


俊 その名前すら気に入らなかったものだ。





矢野 俊


それが俺の名前。






小学校、低学年の頃。



母が居ない時は親父が女を連れ込んで。

親父が居ない時は母が男を連れ込んだ。




そんな毎日。



いつも、どちらかが居ない。

代わりが居る。




血の繋がった両親とは代わることのできない、代わり。




その頃ガキだった俺にはその事実が良く分からなかった。





……母が、男遊びをやめた。


それから母は毎日俺の帰りを笑顔で迎え入れてくれて。

…いきなりのことでよく分からなかったが、俺はそれが素直に嬉しかった。





母は元々純情で綺麗な女性だった。





そんな母が男遊びをするようになったのは親父の影響だろう。

親父の浮気を、母は知っていた。




それでも母が親父に追求しなかったのは、己のためか、俺のためか…