【海琉】
「お帰りなさいませ、お嬢様。」
俺はいつものように頭を下げてお嬢様を迎える。
「ただいま。」
そう言って柔らかく微笑むのは、俺の2人目となるお嬢様。
名を、優(ユウ)と言う。
春日居 優…。
それが今の俺のお嬢様。
この時の俺はまだ、決まりという柵(シガラミ)の中にいた。
俺が初めて仕えたお嬢様は、双子だった。
その、妹が俺のお嬢様。
明るい彼女の微笑みは、俺の冷えた心に温もりをくれた。
…姉に仕えた執事の名前。
支葵。
初めての執事仲間で。
俺等は同い年と言うこともあってすぐに仲良くなった。
同じ苦しみを持つ者同士として。

