「座って!あたしが背中さするからそのテンポでゆっくり呼吸して! 大沼さん! 佐伯先生呼んで!」

 美沙に言われたとおりに呼吸をしようとするものの、思った以上にうまくは出来ない。

 周りがザワつき、足音がバタバタと聞こえる。

 目を開けているはずなのに景色が歪んでいて物を捕らえられない。

「ゆっくりだよ! スー、ハー、スー、ハー、そうそう。ゆっくり!!」

 段々、意識が朦朧としてきたので、そのまま身を委ねる事にした。

 なでられている背中がなんだか気持ちよくて、温かくて、美沙にもたれかかる様にして目を閉じた。