口に入れると、噛まなくても甘いバターの香りが広がってくる。

 かみ締めると、程よい甘さが口いっぱいに広がり、なんとも幸せな気分だ。

「んぅ~っ! うまっ」

 何の変哲も無いクッキーなのに、なぜか力がみなぎってくる様な気がした。


 ――ブーッ、ブーッ、ブーッ

 携帯が鳴ったので見てみると、秋人からのメールだった。

 それからメールで相手をしてもらい、消灯時間をとうに過ぎた頃眠りについた。

 もしかしたら、あの夢を見るんじゃないかと不安になっていたのだが、どうやら見ないで済んだらしい。