「えー!でもこんな人がいいなって
思うのはあるでしょ?」

「まぁ、全く興味ないっていうわけではないけど」

ポロっと余計な事を言ってしまったもんだから


「じゃあ教えてよ」

更に食いついてくる。

まぁ、ここまで言ってしまった私も悪いし。

とりあえず


「優しくて、丁寧な口調の人」


それだけ答えた。


「え?それだけ?」

「そう、それだけ」

「何で、もっとこう・・カッコいい人!とか」

「うーん人の良さって喋り方から来ると思うし」


そう、だって口の悪い男と付き合いたいなんて

絶対に思わない。

うんうんと自分の考えに頷いていると


「それはつまり、あんこぱんまんに出てくる
朝食ぱんマンの事ですか?」


後ろから少し高めの声が聞こえた。


「さ、佐野さん!」

振り返ると、メガネの位置をあげて
笑顔の佐野さんが立ち上がって私達の会話に入って来た。


・・・ってか人の話し聞いてたんだ、この人。


「あー光ちゃん!」

マミが嬉しそうな声を上げる。

私は佐野さんとはあまり仲良くないし
こうして話に乗って来たのは初めてだ。

「それで、川崎さん、さっきの話だけど。
あなたの理想って朝食ぱんマンよね?」

朝食パンマンって・・あの白いスーパーマン
みたいなヤツの事だよね?

あまりちびっこキャラには詳しくはないのだけれど

それくらいなら多分知ってる。

礼儀正しくて、優しさが溢れ出てる人。


「そ、そうかもね」

なんでキャラものに喩えるのか意味が分からないけど。

とりあえず、間違っていないのでそう答えた。


まぁ・・確かにあんな感じの“人”だったらいいのかもね。

「そうか・・川崎さんの理想は朝食ぱんマンなのね」

そうブツブツ言いながらノートに何かを書いていく。

書いて覚えたって何も意味もないし、これから先
役に立つとは思えないけど。


「でもさ~佐野さん、あなたついていけるの?」

「は?」