「さくらねぇ あにうえのおふえがききたいの♪」



私のお習字の先生の膝の上で、可愛いらしくおねだりをするのは、3つになる桜の君だった。



「桜…兄上は今お勉強中だよ?」



私はお習字が嫌いだったが、お父上は

「長政も7つになったのだから、字が書けなくてはな。」
とおっしゃり私にお習字を習わせた。



「さくら いまがいい。
あにうえのおふえききたい。」



「ダメだよ。後でね。」


私は黙々と机に向かう。