この世界に足を踏み入れたのは誘われたからだった。

自分じゃ特に興味も何もなかった。
誘われたから、その誘いに乗っただけ。
ただ、それだけの事。

まぁ…本当はどっちかと言えば、あまり乗り気じゃなかった。

でも、こうやって続けているのは嫌じゃなかったんだろう。

黙々と…いや、淡々と過ごす日々。

それはネットでもリアルでもそうだった。

今も変わらないけど。


あれから君はどうしているのか…。

恐くて誰にも聞けない。

心の底では何か分かってるかも知れないけど…恐かった。


PC(パソコン)の画面から顔を上げた。

今週末までに提出しなければならないこのレポート。
あと1時間も睨めっこしていれば完成するだろう。

ラストスパートをかけるより、少し休憩を挟む事にした。


お湯を沸かし、そのお湯で1度カップを温める。
その後お湯を捨て、またお湯を注ぐ。
そこにティーバッグを入れる。

ボーっとバックから紅茶が抽出されるのを見ていた。

透明な世界にジワジワと、そして確実に茶色い紅茶が進出していく。

まるでそれは、ゆっくりとゆっくりと蝕んでいるようだった。