「しっかり掴まっておけよ」 そう言って、ゆっくりと立ち上がる先輩の背中にしがみついてる体は、意図も簡単に持ち上げられる感覚を感じて 背中から伝わる背中のあったかさが、なんか嬉しくて 「大丈夫?怖くない」 優しい微笑みを向けてくれる仲本さんの心が、またあったかくて これまでこらえていた何かが崩れ落ちるように あたしの涙腺は見事に決壊して 張り詰めた糸がプチンと切れたかと思えば 咳を切ったように嗚咽混じりの涙が溢れてきた。