「俺さぁ、放っておけなかったんだ。お前のこと」


「えっ?」


「美佳と、同じようになっちまうんじゃないかって…なんか怖くなってさ…放っておけなかった」


そっかぁ…雄大は、妹さんと、あたしを重ねてたんだ。


だから…こんなに優しくしてくれるんだ…。


そっかぁ。



謎が解けたよ。



「そっかぁ…」


力無く漏れた声。

「なに?なにか言った?」と聞く雄大の腕にギュッとしがみついた。


「ちょっ!?智樺!?」


慌てる雄大の腕にしがみついたまま


「あたしが、雄大の妹になったげるよ!」


明るく笑って言った。


雄大が本当に求めているのは、きっと助けられなかった妹さんの代わりなんだ。

雄大がそれを望むなら


「あたしが妹になったげる。だから泣かないで。お兄ちゃん」


精一杯の強がりでニカって笑った笑顔を、雄大は瞳を大きく見開いて見つめたあと。


「お、おぉ。妹よ」


冗談っぽく笑って言うとあたしの頭をポンと叩いた。


「痛いよ!」文句を言うと「妹なら我慢しろ」もう一回叩きながら「心配かけやがって」とイタズラっぽい笑顔でまたポンと叩いた。