昨日の事も心配だったので、大地の所をいつもより早めに出て、お兄ちゃんの病室に来た。



静かに顔を覗く。

昨日の事が嘘のように、いつも通り眠っていた。



「お兄ちゃん。昨日はビックリしたんだからね。もう止めてよ、あんなのは」

私はまた、いつものように話し掛けた。



容態は安定したのにお兄ちゃんの意識が戻らない、って分かった頃、医師に言われたのが習慣になっていた。

目を覚まさない患者さんの中には、耳が聞こえていて話し掛けてるのが分かる場合もあるとか。

それで私は、『今日はいい天気だよ』とか日常のちょっとした事でも、出来るだけ多く話し掛けていた。

最近では、大地の事が多かったかも。