素敵な片思い

「ねぇ……」


「なんだよ」


杉浦くんはまだちょっと不機嫌。


助手席のシートベルトの不具合を直すと、扉を閉めて私の前に立った。


「カフェで初めてしゃべったとき、めちゃくちゃ私のこと見てたよね。あれ、なんで?」


「……は? 知らねーよ」


うわ、ものすごい拒否反応。


「ケータイずっといじっててさ、カノジョにメールしてたもんねぇ?」


「うるせ~な。過去のことじゃんか。元カノの話、すんなよ」


「杉浦くんが言いだしたんでしょ~。元カノと同じ香りなんか、すごく気分悪いんだけど。……今から、違う香水つけてこようかな」