「意味わかんないしぃ。もー、返してよ」


「……なんでもないなら、いらねーじゃん?んじゃ、オレの小道具に、貸して」


「小道具?」


「そ。ウマくいったら、教えるわ」


……なにに使う気ぃ?


「うわぁ、ちょっと、危ないんだけどぉ」


杉浦くんがいきなり窓を閉めようとするから、慌てて顔を引っこめた。


「じゃーな、またな」


そう言って笑うと、車を発進してしまった。


さっき杉浦くんにはずされたリング……最近ずっと右手の薬指につけてただけに、ないと違和感がある。


自分で買ったやつだけど……、杉浦くんになんで貸さなきゃなんないの?


でも……、


しばらくこの指にリングつける予定ないし、


これで杉浦くんの気がすむなら


……ま、いっかぁ。