素敵な片思い

「懐かしいな…。久々、海…見たな」


…びっくりした。


名前呼ばれたのかと、思ったぁ。


「懐かしいって…?」


杉浦くんを見ると、運転中に危ないけど橋の脇から見える右手の海を眺めていた。


「オレさー…本当はライフセーバーやりたかったんだ」


…初耳。


「そーなんだ?」


「…そ。小さい時から水泳やっててさ…あ、そん頃はやらされてる感ばっかだったけど。

小学、中学とヒーローだよ。杉浦がいれば、クラス対抗戦も必ず勝てる!みたいな」


…驚いた。私と、同じ。


ドキドキしながら、杉浦くんの話を聞いていた。


「高校ん時バイトでさ、近所の小学校のプールの監視員やったり、海の家でバイトしたりさ…なぁんか、水のそばにいると安心するっつーか…」


「やだー。杉浦くんが海の家って…不純な動機しか、思いつかないんだけどー」


ちょっと意地悪言ってみる。


でも、杉浦くんの反応は…意外とマジメだった。