部屋を出るなり、ありさちゃんが私の腕をグイッと引っ張る。
「ちょっと、海」
「な、に?」
「杉浦問い詰めたらさ、吐いたよ」
…え。なにを?
少しだけ…
胸がドキッと反応した。
「あいつさ~。海が気になるって」
へ?
ありさちゃんはニヤニヤしている。
「えっ、私?」
「そー」
「何それぇ。杉浦くん…?冗談でしょー。あの子カノジョいるし…」
「いやいや。杉浦…今回カノジョの件で相当オチてるからね。でも、何か数日前からウキウキしてるし…変だと思ったんだ」
ウキウキって…。杉浦くんそーいうキャラじゃないし、全然そうは見えなかったけどぉ?
「杉浦のマンションも行ったんでしょ?あいつ、うちら同期がどんだけ部屋入れろって言っても、絶対呼んでくんないよ?」
うわ…喋ったんだ。あの日の事。


