素敵な片思い

「アイツらまさか…」


「えっ?…あはは~、それはナイですよぉ」


まさか、ね。


いやいや、どーなんだろ。相手はまさかの杉浦くんだし。


ありさちゃん美人だし、小綺麗だし、肉食系だし?


もしか二人でどっかに消えた?このまま戻って来ないなんてないよねぇ…。


小玉さんと二人きり。それはそれで嬉しいけど、大してする話もなく…ポツリポツリと会話しては、テレビを見てボーっとしていた。


だけど、意外と居心地がいーんだ。


同じ空間にいて会話がなくても、このまったりとした雰囲気。


窓から見える山の新緑がキレイ。入ってくる微風がキモチいい。


窓のそばには鉢植えが置いてあって、鮮やかなお花が咲いていた。


「この宿って有名な所なんですか?」


「さぁ~?どないやろ」


「…小玉さんのカノジョが手配して下さったんですよね?」


「あれ、何で知っとんの?…あぁ、杉浦か」


そーです。聞きました。


「旅行会社だったら…休みの日はほとんどお仕事ですか?なかなか会えないですよねぇ」