素敵な片思い

小玉さんが携帯を取ってすぐ戻ってきて、二人で外に出た。


お宿の敷地は割と広くって、お宿は庭園に囲まれていた。


自然が多いし、空気も澄んでいて、キモチいーっ!


周りを見渡すと、少し向こうに浅い池があり、短い橋が架かっている。


「おっ、相原さん。何や怪獣がおるでー」


怪獣っ!?


小玉さんは宿の脇にある溝を覗き込んでいた。


そばに行くと、ホントに怪獣が…いた。


トカゲの大きいみたいな、ワニの小さいみたいな…。


「なっ…なんでしょーね、コレ」


「大山椒魚ちゃうかぁ?へ~、こないなトコにおるんやなぁ。すげーっ」


小玉さん。子供みたいな表情で、それに手を伸ばしている。


…ちょっと意外。


表情とか振る舞いとか仕事ぶりをみてると大人だなぁ~って思う事が多いけど、こんな事もするんだね。


そう言えば…


給湯室で缶をゴミ箱に入れる時も、こんなカオだったかも。


「小玉さ~ん、危ないですよ?乗り出し過ぎです。…噛まれちゃいますよー」


「大丈夫やて。相原さんもこっち来てみ」