素敵な片思い

二人が去って、急に静かになる廊下。


「小玉さん、サンプルあげちゃって良かったんですか?」


「あー、別に。まだまだあるし。相原さんもいるかぁ?」


小玉さんがニヤリと笑う。


「いえ…いりません」


会社の倉庫にたくさんあるし、新製品は毎回社員に一つずつ配られるからね。来週あたりもらえると思う。


「なー、相原さん。外散歩せぇへん?自然多いし、めっさ気持ち良さげやわ~」


「行きますっ」


やった!


小玉さんとプチデート気分だよ。


「ほな、行こかー」


歩き出す小玉さんを見て、ある事を思い出した。


「小玉さん、携帯…部屋ですよね。持って行かないんですか?」


「携帯?…あぁ~ホンマやな。ほな取ってくるわな」


小玉さんは胸やズボンのポケットを軽くたたき、入ってない事を確認してる。


携帯持ってない事自体…忘れてたんだ。


あんまり必要ないってコト?