素敵な片思い

「いつもお店にお越し下さってたんですね。ありがとうございました。担当は…」


そこまで言うと、彼女はぷるぷる首を横に振る。


「いつも、違う店舗で買ってたんです」


「ならどうして私の事を?」


「相原さんのコーディネートが大好きで、お店に見に行っては、同じ服や小物を違う店舗で揃えてたんです…。

さすがに目の前で毎回同じ物買われたら、気分悪いかなと思って」


彼女はへへっと恥ずかしそうに笑い、軽く舌を出した。


言われてみれば…


彼女の服装は、何となく私の好みに近い。



「だから…辞めたって聞いて、すごくショックで。お店で聞いても、一身上の都合でとしか教えてくれないし」


「そうだったんですかぁ。私、腰悪くしちゃって。元々弱い場所ではあったんですけど…」


「えぇっ。じゃあ、もうアパレル業界では働かないんですか?」


「えぇ。長時間の立ち仕事は、腰が辛くって…。ホントは、今だってやりたいんですけどね」