素敵な片思い

しかもカノジョは、じーっと食い入るように…私を、見つめている。


顔じゃなく、服や持ち物を。


…何なんだろう、この子。ちょっとコワイ。


笑顔が苦笑いになりそうだった時、カノジョがまた話しかけてきた。


「相原さん、どうして辞めちゃったんですか?」


…へっ?


私まだ会社辞めてないけど。





キョトンとする私に、またカレシがフォロー。


「さゆり~、唐突だって。お前、主語なさすぎ」


「あ、そっか。えぇと…相原さんが去年まで働いてたブランドの服、私スッゴく大好きだったんです。いつも通い詰めてて…。でも、辞めちゃったから」


…えっ!?そ~なのぉ?


だから彼女は私の名前を知ってたんだ?


それにしても…


お客様の中に、彼女がいた気はしないんだけど。


人の名前と顔を覚えるのは得意だし、通い詰めるほどのお客様なら、覚えていて当然だ。


でも、


全く記憶にない。