素敵な片思い

「え…と。1ヶ月って、どうしてそんなに早く。せめて3ヶ月とか」


「彼がね、転勤になったんだ。私も早くついて行きたいから…相原さんには悪いけど、辞めようかなって」


あ。そう言えば。


先輩の指には…


指輪がキラキラと光っていた。


今まで、向かいの席にいる先輩の手元なんて見る事もなかった。


こうやって見ると…


薬指の指輪の効果は絶大だ。


私みたく、イミテーションで指を飾ってるのとは


ワケが違う。


「…いいなぁ~」


思わず口から、そんな言葉がこぼれていた。


「相原さんもカレシいるんでしょ?可愛い指輪してるじゃない」


「あ~、コレ違うんです。…何かミエはってるみたく見えます?」


「ううん、その石サイズ薬指の方が合うし、いいんじゃないの?そっか、カレシはいないんだねー。じゃあ仕事に打ち込めるね」


むむ…。


そういう人生は、ここでは望めない気がする。