素敵な片思い

「あの部長ね、相原さんの事あれでもすごく可愛いがってるんだよ?」


嘘ぉ。全然そんな風には思えませんけど?


「はぁ…。そーなんデスか?」


「そ。私が入社した時、部長がうちの係長でね…」


「えっ?部長が」


先輩はクスクス笑って、何度も頷く。


「うちの部署、クレームの電話多いし…接客も怒られるのにも慣れてなかったから、私ちょっと参っちゃったんだ。

だから…そうならないように、相原さんにはオレよりあのクレーム電話の方が、マシだって思わせたいとか言ってたよ?」


な…に、それぇ。何の効果にもなってないけど?


部長のせいで辞めるトコだったってば。


「へぇ…。部長の考えてるコト、よくわかんないです」


「照れ屋だから、怒る事でしか自分を表現できないみたい。相原さんと顔合わせるの意外と楽しみにしてるからね」


ふぅん。本当なのかな。


じゃあ…クレーム電話は大丈夫だから、いい加減、怒るのやめてくれないかなぁ。