素敵な片思い

「いや、いーや。報告書書いたら帰る。あとちょっとだ」


ふぅん…。頑張るんだね~。


「残業ばっかで平日忙しいよね。…嫌になる事ない?」


私なんて定時で帰ってても次の日会社嫌だなぁ~って思うのに。


意外にも杉浦くんは嬉しそうににっこりする。


…あれ?


「嫌っつーか。もー生活の一部だかんな。小玉さんはそれなりに仕事やって、帰る時はスパッと帰るけど、オレの場合はまだまだそこまで行かねーや。新入社員だし、やるしかない」


パソコンに向かい、私を横目にキーボードを叩く。


報告書を書く杉浦くんのディスプレイを覗き込むと、今日まわったテリトリーを事細かに記載していた。


「すごいねぇ~。一日でこんなに行ったんだ?…でも、あんまり無理しないほうがいいよ。途中で息切れしないでね」


杉浦くんは画面を見つめたまま、指を止めずに笑う。


「ふ~ん。優しーじゃん。…何?オレに気があんの?」