ほんのちょっとのこと

自分を抑えること

一瞬の迷いを消し去ること


地面からそびえ立つ

高い高い積み木

コツコツコツコツやってきた

めげそうになっても

完成したときの嬉しさを思い描き

積み上げてきた

試行錯誤を繰り返し

悩んで悩んで

時にはお気に入りのものすら

抜いた

哀しかった

辛かった

それでも

完成させたかったから…

大事な大事な

ものを捨ててまで


でも

積み木は突然崩れた

いとも簡単に…

ちょっと調子にのって

チョン

て、やっただけ

それは

その時の自分にとっては大したことない行動だった


でも

崩れた後思うと

大きな大きな失敗だった

どうしてこんなことしたの?

崩れた積み木達から声が漏れる


あなたは

私達を積み上げてこんなことがしたかったの?


心が痛い…


ボクは

ただ作りたかった

見たこともない積み木の塔を…

ただ一瞬だけ抑えられなかったんだ…


ごめんなさい


崩れた積み木に声をかけることができない

怖くて…

申し訳なくて…


だから

ボクは

ただただ

心の中で自分を責めた


後悔がどっと押し寄せる


ボクはまた積み木を積もうとする

でも

手が止まる

積み木達がボクを拒んでいるようで…

軽蔑してるようで…

見れない


ボクは固まった


積み木の声が聞こえる

結局あなたは私達を積み上げて崩したかっただけ…

それが楽しいだけなんだわ

崩れるのが楽しいだけでしょ?


違う…

違うんだ

お願いだから信じてよ


積み木から返事はこない

ボクの声は暗闇に吸い込まれた

ボクはただただ立ちすくむ