いつの間にか始まって、いつの間にか終わっていた。


手放すのが怖かった。


この『当たり前』を…


居心地がよくて、たまらなかった。


愛されてる自分に酔っていた。


ただ


頭の中には常に終わりが見えていた。


この『当たり前』の中にずっといたら、ホントの自分が消えそうな気がした。


独りになりたくなかった。


でも


心のどこかでは独りを求めていた。


みんなと同じように、俺を避けるようになってしまうのが怖かった。


だから

俺は与えられた愛から逃げることにした。


初めから愛なんて信じなければ、こんな傷つくことはなかったのだ。


自分の中で勝手に結論づけた。


弱かったのだ、自分が…



俺は影の中に独りたちすくんでいた。