★said琴子★
「二宮くんっ!午後の移動教室あたしたちの班にはいる?」
見た目が怖くて
いつも一匹狼でいる二宮くんに
あたしは声をかけた。
百合亜ちゃんが
二宮くんを好きだということを聞いてから
協力しよーというキューピッド精神が燃え
あたしは二宮くんにたくさん話しかけるようになった。
「別にいーよ。午後イチ科学だろ?興味ねぇしサボる。」
ふゎゎと大きなあくびをしながら
椅子にドカっと座った二宮くんは
机にガンっと足を乗せた。
そんな二宮くんの態度に
教室中がびくっとする。
「琴子アンタがんばるねーっ。」
そんな二宮くんをこっそり見ながら
志乃が小さな声であたしに言うから
「二宮くん、案外いい人だよ。」
あたしはそう答えた。
「えぇ?」
「だってね、ぜんぜん怖くないよ?愛想はあんまりないけど話すと案外フツーなの。」
お昼休み、
そんな会話をしているところに
またいつものように百合亜ちゃんは
現れた。

